大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和53年(特わ)3273号 判決 1979年2月26日

本店所在地

東京都千代田区岩本町二丁目三番一号

山進ビル三の二号

佑和日勢株式会社

右代表者代表取締役

朝妻佑吉

本籍

東京都東村山市栄町三丁目二六番地二七

住居

東京都渋谷区広尾五丁目一番一四号 広尾ハイツ七一〇号 尾崎和重方

会社役員

朝妻佑吉

昭和一四年一月一九日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官乙部二郎出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人佑和日勢株式会社を罰金一七〇〇万円に、被告人朝妻佑吉を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人朝妻佑吉に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人佑和日勢株式会社(以下「被告会社」という。)は、肩書地(昭和五一年一〇月一四日以前は東京都千代田区内神田一丁目二番八号)に本店を置き、飲食店等の経営を目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人朝妻佑吉(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を蓄積する等の方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五〇年六月一六日から同五一年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七四八九万一六六八円あつた(別紙(一)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同年七月三〇日、東京都千代田区神田錦町三丁目三番地所在の所轄神田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七九万二六二七円でこれに対する法人税額が四九万九三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五四年押第一八三号の符号一)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二九一一万三九〇〇円(税額の算定は別紙(三)の一計算書参照)と右申告税額との差額二八六一万四六〇〇円を免れ、

第二  昭和五一年六月一日から同五二年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億〇一七二万五三六八円あつた(別紙(二)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同年七月二九日、前記神田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四一万三四七六円でこれに対する法人税額が一一万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号二)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額三九八五万円(税額の算定は別紙(三)の二計算書参照)と右申告税額との差額三九七三万四四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

第一判事冒頭事実を含む判示事実全般につき、

一  被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する供述調書(乙4)

一  尾崎和重、赤森桂子の検察官に対する各供述調書(甲一22、23)

一  石黒喜美子の大蔵事務官に対する質問てん末書(甲一24)

一  登記官作成の登記簿謄本(甲一1)

一  大蔵事務官作成の昭和五三年一一月二八日付報告書(甲一2)

第二  別紙(一)、(二)の各修正貸借対照表掲記の各勘定科目別「当期増減金額」、「過年度金額」欄記載の数額のうち、

(イ)  現金(各<1>)につき、

一 大蔵事務官作成の期末現金残高調査書(甲一3)

(ロ)  普通預金(各<2>)、定期積金(各<3>)、定期預金(各<4>)につき、

一 大蔵事務官作成の預貯金の残高、利息、源泉税調査書(甲一4)

(ハ)  有価証券(各<5>)につき、

一 大蔵事務官作成の有価証券調査書(甲一5)

(ニ)  前払費用(各<6>)につき、

一 大蔵事務官作成の前払費用調査書(甲一6)

(ホ)  貸付金(各<7>)につき、

一 大蔵事務官作成の貸付金調査書(甲一7)

(ヘ)  棚卸商品(各<8>)につき、

一 大蔵事務官作成の棚卸商品調査書(甲一8)

(ト)  造作(各<9>)、什器備品(各<10>)、車両(各<11>)につき、

一 大蔵事務官作成の造作、車両、什器備品の残高、減価償却費調査書(甲一9)

(チ)  売掛金(各<12>)につき、

一 大蔵事務官作成の売掛金調査書(甲一10)

(リ)  敷金(各<13>)につき、

一 大蔵事務官作成の敷金調査書(甲一11)

(ヌ)  店舗権利金(各<14>)につき、

一 大蔵事務官作成の店舗権利金、創業費調査書(甲一12)

(ル)  過払源泉税(各<16>)につき、

一 大蔵事務官作成の過払源泉税調査書(甲一13)

(ヲ)  代表者勘定(各<17>)につき、

一 大蔵事務官作成の代表者勘定調査書(甲一14)及び個人財産残高増減調査書(甲一15)

(ワ)  未収入金(各<18>)につき、

一 大蔵事務官作成の未収入金調査書(甲一16)

(カ)  仮払金(各<19>)につき、

一 大蔵事務官作成の仮払金調査書(甲一17)

(ヨ)  借入金(各<20>)につき、

一 大蔵事務官作成の借入金調査書(甲一18)

(タ)  未払金(各<21>)につき

一 大蔵事務官作成の未払金調査書(甲一19)

(レ)  預り金(各<22>)につき、

一大蔵事務官作成の顧問料、預り金調査書(甲一20)

(ソ)  未納事業税(別紙(二)<28>)につき、

一 大蔵事務官作成の未納事業税調査書(甲一21)

第三  別紙(一)、(二)の各修正貸借対照表掲記の各勘定科目別「公表金額」欄記載の数額及び過少申告の事実につき、

一  押収にかかる被告会社の51/5期及び52/5期各法人税確定申告書各一袋(昭和五四年押第一八三号の符号一、二)

(法令の適用)

法律に照すと、判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法第五九条第一項(被告会社については、さらに同法第一六四条第一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法第一五九条第二項を適用し、被告人については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法第四八条第二項により合算した金額の範囲内において罰金一七〇〇万円に、被告人については同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において懲役一年にそれぞれ処し、被告人に対し同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 半谷恭一)

別紙(一)

修正貸借対照表

佑和日勢株式会社

昭和51年5月31日

No.

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

佑和日勢株式会社

昭和52年5月31日

No.

<省略>

別紙(三)の一、二

ほ脱税額計算書

会社名佑和日勢(株)

(1) 自昭和50年6月16日

至昭和51年5月31日

(注)昭和50年6月16日会社設立

No.

<省略>

(2) 自昭和51年6月1日

至昭和52年5月31日

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例